本毛芯仕様のジャケットは、
手に持った感じは通常のレディースジャケットより重みがありますが、
着用すると重さを感じさせない作りです。
Q,毛芯仕様にすることで何がどう違う?
A,着心地がいい状態で、シルエットが格段美しくなります。
毛芯=天然素材で違和感のないボディースーツだと思って下さい。
毛芯を入れることで、
①見た目丸みを帯びた美しいジャケットを形成します。
特に肩~胸~ウエストにかけて余分なシワの発生を防ぎます。
②着用して重さを感じることはなく、肩周りの動きも快適です。
あくまでも天然素材(ウールの芯)であり、表地を固めてしまうものではないので、表地の伸びに追従し、技術を駆使することで表地と身体の間に空間を作り、快適さを実現します。
腕の付け根が前寄りで、標準体型の服を着ると前肩が当たり違和感を覚える方々が一定数おられます。
(腕、首の可動域が妨げられて不快)
そこで「肩ぐせ処理」を施し、服を身体に密着させつつ、前肩部分に空間を作り運動機能を確保しています。
これによりジャケットを羽織っても快適で、重さを感じることがなくなります。
怒り肩の方が着用されても軽く感じられます。
アイロンワークにより「くせ処理」を行います。
一口に言って生地をねじる作業です。
高熱アイロンでねじって元に戻りにくいウール素材を活かし、
曲線美を作ります。
パンツ程、穿く人の体型によって皺の出方が様々なアイテムはありません。寸法が同じでも体型が異なるとシルエットの変化が顕著に現れます。
着用される方が一番美しく見えるよう「補正」をかけてベストバランスを探ります。
パンツ単体であっても、ビスポークスーツ(フルオーダースーツ)に相応しい美しさを追求します。
既製服では出すことが出来ない、ナチュラルでありながら独特の丸みを帯びたシルエット。
パターン設計(型紙)だけでなく、縫製時、高温アイロンでウール素材をねじることによって生み出すことが可能になります。
高温アイロンを使用し、
素材のウールを歪ませ「曲線美の塊」のビスポークスーツ(フルオーダースーツ)を形作ります。
高密度の紳士服地を使用し形にするには高温が必須です。
ビスポークスーツ(フルオーダースーツ)の象徴とも言える、テーラードカラーのラペル。
毛芯のラペル部分にハハハと「ハの字」に手で縫うことで
表地と毛芯が一体化し、立体感が出て「力」のあるラペルになります。
年数が経っても型崩れしにくくなっています。
レディースのボディに添ってラペル折れ線が大きくカーブしています。
単にメンズのビスポークスーツをレディースにアレンジしたものとは大きく異なる形状です。
適度な抜け感が出て躍動感があり、洗練された雰囲気をもたらします。
背広というアイテムの最大の特徴は、背広を着るだけでどんな人もきっちりと見えます。
最小限の縫い目と決まりきったディティール(ポケット、ボタン)で構成され、余分な皺を排した形であればあるほど輝きが増すアイテムです。
身体に合ったテーラードは、着る人を何段階も上へ引き立ててくれる便利なツールです。
一見何でもないように見えますが、真正面から見た状態は「誤魔化し」が効かないアングルです。
長期間をかけて獲得した多くの技術を落とし込んでいます。
デザインバランスで意識しているところは「普遍性」の一点に尽きます。
何年経っても変わることのない美しさにエネルギーを注ぎます。